2009年08月21日
南仏の旅 第4話

数日間アヴィニョンに滞在し、演劇や大道芸を満喫した最後の夜。色んな国の人達で賑わう通りを歩いていると、スペイン人の集団を発見。情熱的なフラメンコギターをバックにカッコイイスペイン女性がフラメンコを踊っています。見とれているといつの間にかタンバリンを渡され、ほろ酔い加減の私は無謀にも踊りの輪の中へ…。夢中で踊っていると 『 you are good dancer! 』 とお褒めの言葉を頂きました。
オープンカフェでは大勢の人々が昼間の興奮も冷めやらず、ビールやワインを片手にお喋りに興じています。あまりの忙しさに嫌気がさしたのかカフェのギャルソンは注文を無視して椅子に座り込んで友人とお喋りしています。
通りをぶらついていると突然すごいパフォーマンスに出くわしました。10人程の集団で一列になって行進しているのですが、彼らは2メートルはありそうな恐竜とも甲虫ともつかないような黒光りした金属製のメカに身を包んで火を噴きながら歩いているのです。映像でお見せできないのが非常に残念ですが、メカはかなりのボリュームがあり一歩、歩くごとにガシャンガシャンと音を立て、時々横にいる黒子が彼らによじ登り頭の辺りに燃料油らしきものを注ぐと、派手にゴォーッと火を噴くのです。宮崎駿のアニメに出てきそうなちょっとレトロ感もあるメカといった感じです。感動した観衆からは時折拍手が沸き起こり、想像を超えたパフォーマンスに脱帽でした。
知人の大道芸人雪竹太郎さんと奥様、そして演劇祭で知り合った日本人二人と合流して、太郎さんお勧めの食堂に入り美味しい料理やお酒に舌鼓を打っていると、その時出されたおちょこの内側の底に何やら女性の絵が描かれています。それはとても面白い仕掛けで、空の状態だと女性は服を着ているのですがお酒を入れるとなんと女性はヌードになってしまうのです!すっかりおちょこが気に入った私は店主に譲ってくれないかと頼んでみたのですが 『これは譲れない。そんなに欲しいのならマルセイユに行くといい。きっと見つかる。』 という事で、その後私はアヴィニョンを後にし、おふざけおちょこを探すべくマルセイユを目指すのでありました。 次週に続く…
作品は2001年個展より 《 イエローガーデン 》 です。
2009年08月14日
南仏の旅 第3話

郊外の宿からアヴィニョンに戻った私は演劇祭をいざ堪能!という事で、屋外でやっている大道芸を
見ようとうろついていると、ミニのキャミソールワンピースを着た若い女性3人組みに出くわしました。
彼女達は惚れぼれする見事なアカペラで歌っています。うっとり見とれていると、彼女達のワキの下から何やら見え隠れするものが…。
『 あっ、ワキ毛!! 』
健康的なむき出しの二の腕のワキの下からは、ふさふさとワキ毛が生えていたのでした。
ガ~ン!カルチャーショック…。フランス人てワキ毛剃らないのね(^_^;)
様々なパフォーマンスを見ているうちに、映画《ポンヌフの恋人》でジュリエット・ビノシュの相手役を演じた個性派俳優 ドニ・ラヴァンが出演する劇があるというので見に行くと、彼はだみ声を張り上げながらおじいさん役を演じていました。
いつの間にか夜のとばりが下りライトアップされた石の建物は昼間とは違った風情です。
石畳をそぞろ歩きながら中央の広場まで来ると、そこでは特設ステージもなく地面の上に直接譜面を立てたオーケストラの団員が、普段着でスタンバイしています。照明のない広場で彼らはひとりひとり頭から提灯あんこうみたいに譜面を照らすライトをぶら下げていて、その姿はなんともユーモラス♪♪
夜のアヴィニョンの街をオーケストラの音色が染めていき、近くの高い塔の窓に貼られた影絵が窓から放つ灯りでゆらめいて、広場や石の壁を覆いつくすのでありました。
本当にロマンチックな夜でした。 次週に続く…
作品は2001年個展より 《 コールドフィーバー 》
写真は夜の間に咲く私の大好きなカラス瓜の花です。これはフラッシュを焚いているのでくっきり写っていますが実際は夜の闇の中にぼんやりと白く浮き上がるように咲き、とても美しいです。
2009年08月07日
南仏の旅 第2話

無事アヴィニョンにたどり着いた私は、期待と不安を胸に演劇祭の会場を目指しました。中世を思わせる石造りの建物と入り組んだ石畳の道を進んでいくと、ヨーロッパ各地から押し寄せた大勢の人々で賑わっています。
アヴィニョンの演劇祭は60年余りの歴史を持ち、旧教皇庁の前庭の広場で行われたのが初めだったそうです。屋内外で演劇やダンス、大道芸など大小様々なプログラムが催されます。
まずは宿探しだ!ということで入り組んだ町並みをぐるぐる周るのですが、どこも《満室》の看板が出ていて次第に気持ちに焦りが…。仕方なくツーリストインフォメーションで郊外の宿泊先リストをもらうと、一口会話集を片手にドキドキしながら片っぱしから電話をかけていきました。やっと一晩だけ予約が取れたので、客待ちしていたタクシーに乗り込みいざ出発! 運ちゃんは黙々と車を走らせアヴィニョンの町は次第に遠くなり、かなりの距離を走ったところで段々不安になってきた私は、ちょっとトイレに降ろしてもらおうかと運ちゃんに声をかけると、何やら『もうすぐだから待っていなさい。』といった感じで車を止めてくれないのです!
タクシーは商店の並ぶ街並みから外れ次第に人気の無い山の中へ…。
その時私の頭をよぎったのは、
『 フィガロ紙、一面トップ。
アヴィニョンから十数キロ離れた山中の雑木林で日本人女性の遺体発見される。
クレジットカード、現金など金目のものは全て抜き取られ、物盗りの犯行か?
只今、身元確認中。 』
『 お客さん、着きましたよ~。 』
運ちゃんの言葉にハッと我に返った私は、疑ったことを恥ずかしく思いちょっとチップをはずんだのでありました。
そのこじんまりした宿は快適で、食事に出された柔らかくて白いチーズはさすが本場、とっても美味でした♪ (あれは何というチーズだったのかなあ~)
それにしても、コワかったあ~(^_^;) 次週に続く…
作品は2001年個展より 《 泉の創成 》 です。