2013年01月13日
郵便配達夫シュヴァルの理想郷

今日は昔、ひとりの郵便配達夫が築き上げた不思議な建築物のお話を紹介します。
1879年フランスの片田舎の郵便配達夫シュヴァルは、ソロバン玉が重なったような奇妙な形をした
石につまづきました。その石からインスピレーションを受けたシュヴァルはそれから、配達の途中
石に目をつけ、仕事が終わると石を拾いにいき、自宅の庭先に積み上げるという行為を続けました。
石工、建築の知識はなんら持ち合わせていないシュバルでしたが、村人達から変人扱いされながらも
33年の月日をかけて彼の理想郷を築き上げました。その当時、自転車や自動車はまだなくて徒歩で
配達を続けていたシュバルは時折、配達物の中の絵葉書から、外国に思いを馳せていたそうです。
彼はこの宮殿の地下に墓所を作り、そこに家族と共にエジプトのファラオのように埋葬される事を
願っていましたが、教会や村人の反対にあいその願いは叶わなかったそうです。現在はフランス政府
により国の重要建造物に指定され、修復もされているそうです。
しかし一介の郵便配達夫がこんなものを作ってしまうなんて、本当に驚きです。志半ばで倒れた
建築家の魂が降りてきて彼の体を借りて仕事を成し遂げたのかなぁ、なんて想像してしまいます。


