2009年07月17日
火星の人類学者

『レナードの朝』の原作者、オリヴァー・サックスという脳神経科医の『火星の人類学者』という本を読んでいます。脳の病に侵された7人の患者と行動を共にし観察した医学エッセイで、彼らを単なる症例としてではなく一個人として人間味溢れる眼差しで見つめています。
それまで画家、デザイナーとして活躍していたひとりの男の人は、交通事故以来脳にダメージを受け視覚に異常が起こり、色彩を奪われモノトーンの世界に住むことになります。
考えても見てください!食卓に並ぶ食べ物、人の顔、庭に咲く花々、全てがグレーの濃淡なのです。
私は考えただけでゾッとしました。絶望し苦しんだのち彼はモノトーンの絵を描き始め、夜行動するようになります。彼によると夜は広々としているそうです。
何年もかかって絶望と喪失感を乗り越えた彼は色に邪魔されてそれまで見えていなかった微妙な形や質感を見出し、新しい世界感を構築していくのです。彼は色盲を『新しい感覚と存在の世界への扉を開いてくれた奇妙な贈り物』と考えるようになったそうです。
この他にも体をよじったりする痙攣性チックや様々な強迫観念を伴うトゥレット症候群の男性が病と闘いながら立派に外科医として活躍している様など、信じがたい話ばかりでした。
人には大なり小なり様々な試練が与えられますが、それとどう向き合うか考えさせられる本です。
作品は2002年個展マウンテンパレードより 《 アラスカ 》 です。
さくらももこの 『 もものかんづめ 』
不安なモンロー、捨てられないウォーホル 「心の病」と生きた12人の偉才たち
皮膚に疾患がある人へ
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『 幸せについて 』
《 誰だってちょっと落ちこぼれ 》
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